好きなものを愛でていれば、人生おわる

どう転んでも生きにくさにのまれない方法を模索中(詳細:ブログ記事【はじめに】)。ジャンル特化ではなく、模索結果に沿った作品を紹介。毎週木・日で更新予定。

人:さくらももこさん

2019年8月27日。さくらももこさんの訃報から1年になる。

上記Twitterの通り、私はさくらさんに多大なる影響を受けてきたので、そのことについて書きたいと思う。

 

最も大きな影響は、「読書すること」を生活の楽しみとしてスムーズに受け入れるきっかけを作ってくれたことである。

小学生時代、私は本を読むことが習慣になっていた。それは勉強のためなどの立派な理由ではなく、暇な時間に襲ってくるむなしさに耐えられなかったためだ。
遊べる友達がいない日などは、本当に絶望的な気持ちになっていた。
ゲームもおもちゃも家にはほとんど無く、漫画もおこづかいではたくさん買えない。YouTubeなどはそもそも存在していない時代、図書館や図書室で無料で借りられる本は、大きな救いになっていた。

小学5年生になり、児童書ではなく大人向けの本を読みたくなってきていた頃、夏休みに母方の実家へ遊びに行くことになった。
移動中に暇つぶしできるものを求め、少し背伸びをして買ってもらったのがさくらももこさんのエッセイ『ももこの話』である。
この本は子供時代のことをエッセイにしたものであるため、内容はもちろん『ちびまる子ちゃん』に近い。
いつも見ている漫画やアニメよりも、より辛口でシニカルな雰囲気に大人っぽさを感じながら、とても楽しく読んだ。

「大人が楽しんで読むような本を、自分も楽しく読めた」という当時の私にとって大きな自信を持たせてくれたのが、さくらさんのエッセイだったのだ。
自信をつけてからは読書の幅が広がり、本の楽しさを知っていくことができた。

実際には、中高時代は部活などで時間が満たされていたため、本をほとんど読んでいない。それでも読みたい本があった時に抵抗なく読むことができたり、大学生になって読書をスムーズに再開できたりしたのも、この初めの一冊があったからだ。

ほとんど本を読まなかったと書いたが、さくらももこさんのエッセイだけは、中高時代もずっと追い続けていた。
さくらさんは、面白い会やイベントをたくさん企画していて、その様子がとても楽しそうで羨ましかった。
また、雑貨・旅行・宝石などのわくわくする世界をたくさん見せてくれた。改めて漫画やエッセイを読み返すと、表紙や扉絵が凝っていてとても可愛らしく、さくらさんの好きな世界観で彩られているのがわかる。

大人になったら、面白い会を企画して楽しんだり、可愛いものや綺麗なものに詳しくなって、好きなものが自然に増えていったりするものかと思っていたけれど、実際そんなことは無かった。
こんなに多趣味で好きなものが多い人はなかなか珍しく、さくらさんの好奇心と行動力の凄さを知った。

実は、私が可愛い・綺麗と感じるものはさくらさんの好みに近いところがある。
もちろんさくらさんほどではないのだが、可愛いものや綺麗なものを追い求める好奇心を含め、少なからず影響を受けているのではないだろうか。
というより好奇心については、そういう人生の楽しみ方があって、そのためには自ら動いて見つけなきゃいけないよということを教えてもらったと思っている。

 

節目の誕生日の過ごし方については、影響というよりも、まさにそのまま実行させてもらった。

私は、エッセイ『たいのおかしら』の「二十歳になった日」という話がとても好きである。さくらさんは、二十代はひとりで決断し、ひとりで人生を切り開いてゆかなければならない年代を迎える気がしており、二十歳の誕生日には、ひとりで、まっすぐに続く道をとにかくまっすぐに歩いてみたそうだ。その後、そのことが大きな糧になったと書かれていた。

三十歳の誕生日を迎えるにあたり、当日はどうやって過ごそうかなと考えていた時、私の頭の中にはその話が浮かんでいた。
何かヒントが見つかるかもと思い、その話についてインターネットで調べてみると、エッセイ『まる子だった(文庫版)』には、糸井重里さんとの対談が載っており、節目の誕生日に関する話をしていることを知る。
単行本でしか読んでいなかったので、さっそく文庫版にて対談を読んでみたところ、「節目の誕生日の過ごし方は、その後10年を象徴するのだ」という話をしていた。

自分自身を思い返せば、(特別な決意などをせず臨んだが)二十歳の誕生日の過ごし方やその時の感情が、不思議なことに、たしかにその後10年を象徴していた。
さくらさんが節目の誕生日を毎回特別な思いで過ごしてきているように、私もこうなりたいという方向性を持って三十歳を迎えてみようと考え、当日は有給をとり、自分のしたいことを中心にひとつひとつの行動をかみしめて過ごした。
自己暗示のようなものかもしれないが、今のところ、やはりこの考え方には信憑性を感じている。

 

その他、ホテルでの缶詰生活に憧れたこともあるし、さくらプロダクションという会社の存在を知り、入社することが夢だった時期もある。
シニカルな気分の時には「わたしゃ○○だよ」という口調でしゃべってしまいそうになるし、お年玉の袋が売られているのを見ると「おとーむ…」と条件反射的に思ってしまうし、高橋留美子さんのことは「留美子先生」と呼んでしまう。

人生の様々なことを面白がるさくらさんのような人に、小さい頃から影響を受け続けてきたことは、本当に幸運だったと思う。
さくらさんが元気で面白いおばあちゃんになって、いろいろなことを楽しんでいる姿をずっと見ていたかったな。

今までの恩を忘れずに、私もいろいろ面白がって生きていこうと思います。

 

ももこの話 (集英社文庫)

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たいのおかしら (集英社文庫)

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まる子だった (集英社文庫)

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