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私にとっての良いものを表現してくれる作品を愛でるブログ。

ドラマ:『コタキ兄弟と四苦八苦』(野木亜紀子)

今回は、明日最終回を迎える大好きなドラマについて。

楽しみに待つものがある、ということの精神的な影響は計り知れない。
旅行やライブ、遊びの予定を入れるのは、それらを実行するのと同等に、実行までは生きていなければという理由をつくるためである。
それを一生続けていくことによって、私は生きることを続けていられる。

そして、常に楽しみに待つものがあるという状態を日常的にもたらしてくれるものが、テレビである。
それに加えてテレビ番組は、曜日感覚や季節感覚を保つための道具でもある。
録画や見逃し配信で見ることも増えたけれど、オンエア中に見るということの効能を、私は存分に味わってきた方だと思う。
今日はこの番組があるから〇曜日だという思考回路で日々が過ぎていることを認識していたし、『紅白歌合戦』は、観ないと大晦日を迎えた気がしないので必ず観ている。
今の時期だと『オールスター感謝祭』の赤坂5丁目ミニマラソンで、桜の木の下を走る芸能人をテレビ越しに見ることがマストである。(今年はもしかしたら放送がないかもしれませんが)
3月下旬~4月上旬は、自分の意志ではない変化を強いられることが多いので、とても苦手な時期だけれど、この番組を見ることでちょっとだけ心を落ち着かせることができている。

2020年1~3月期ドラマは、結局『コタキ兄弟と四苦八苦』しか見ていなかったけれど、先々の楽しみが中止になっていく現状で、このドラマが心の支えになっていた。
明日で最終回を迎えるが、この3カ月本当にありがとうございましたという気持ちでいっぱいである。
このドラマは、小滝一路(古舘寛治さん)と小滝二路(滝藤賢一さん)が兄弟で「レンタルおやじ」を行いながら、様々な人の生き方に触れていく様を描いたオリジナルドラマである。
まず主演のお二人、脚本家・野木亜紀子さん、監督・山下敦弘さんという面々からして、絶対に間違いないドラマだと見る前から思っていた。
楽しみに待ちながら一話目を見て、その世界観にすぐ魅了された。
正反対の性格である兄弟の愛らしい人間味もたまらなければ、レンタルおやじ代表のムラタ(宮藤官九郎さん)や喫茶店シャバダバ」看板娘のさっちゃん(芳根京子さん)を交えたやりとりも、最高である。
相談を受ける舞台となる喫茶店シャバダバ」に毎週通っている常連のような気分になれ、その世界観にすっかり浸った3カ月だった。
そしてレンタルおやじへの相談者が毎週ゲストとして登場するのだが、その相談者たちも毎回魅力的である。
それは、自分はどうしたいかということを、考えに考えた人だけが持っている意志が伝わってくるという点における魅力である。
脚本家の野木さんは、『アンナチュラル』『逃げるは恥だが役に立つ』『獣になれない私たち』などを手掛けた日本のドラマ界を牽引する方だ。
全ての作品を見れているわけではない(とても見たい)けれど、野木さんの作品の根底には、常に「一人ひとりの意志を伝える」という軸があるような印象を受けている。
世の中の普通よりも、個人としてどうしたいかを重視していいのではというメッセージを感じる。
コタキ兄弟は、相談者に対して反論したり理解に苦しんだりしつつも、話を聞いて行動をするうちに、その相談者の意志を汲み取って背中を押してあげるような役割を果たす。
この塩梅がまさに理想的で、とても心地いい。
安易な共感でもなく、人格否定でもなく(否定しても、きちんと謝って見直す)「共感できなくても、理解はしあえる」という人間関係の理想が体現されている心地よさだ。
今までのドラマは、世の中の普通というテンプレートに基づいたキャラクターが登場するものが主流だったように感じている。
しかし、私の敬愛する坂元さん作品や野木さん作品のようなドラマが増えてきて、日本ドラマ界を牽引し始めていることが痛快である。
自分らしく生きることを否定されない世の中、というよく考えればその方が正常だろうという世の中へ日本を牽引してくださる存在として、4月からのドラマ『MIU404』も非常に楽しみにしている。

最後に『コタキ兄弟と四苦八苦』で大好きな要素として、主題歌のこともぜひ書いておきたい。
オープニング曲であるCreepy Nuts「オトナ」は、とにかく癖になる。
オープニング映像では、喫茶店シャバダバ」内で、Creepy Nutsのお二人が演奏して歌う姿と共にコタキ兄弟とさっちゃんが踊りまくっている。
ここ数年で、一緒に踊りだしたくなる映像No.1である。歌詞や曲調は、大人としての四苦八苦というか明るいものではないけれど、流れていたら自動的に踊らされる魅惑的な曲である。この3カ月間、ふとした時に、曲と映像が頭の中で再生され続けていた。
エンディング曲のSTARDUST REVUE「ちょうどいい幸せ」は、物語終盤の心地よさにあまりにもマッチしていて、今週も最高だったなという余韻を最大限に残してくれる。
これらをドラマ内で聴けるのも明日が最後なのかと思うと寂しいけれど、明日を楽しみにしながら今回の記事を終わりたいと思います。